『外道神父アルベルト・無法伝1』

 タイ、バンコク国際空港。現地で言えば、ドンムアン空港。

 ターミナルに出てくるのは様々な人種、容姿の人々。国際空港に於いては、どの国もその利用客の多様さには然程大きな差はないだろう。

 そんな利用客の中に混じり、長身の男と双子と思しき少女の姿があった。

「ふむ、飛行機を利用するのも、結構久し振りですねぇ」

 青年の呟きに、シニョンの頭が揺れ、少女の一人が振り返る。

「そうなんですか?アル様」

 美人と呼べる顔立ちに、スレンダーな体をミニのチャイナワンピースに包んだ少女。

 劉白花(りゅう・ぱいふぁ)。華僑、劉家の跡継ぎだ。

「まぁ、これでも聖職者は忙しい身ですから」

 アル様、と呼ばれた青年―アルベルト・ローティス―は、とても人当たり良さそうな微笑みを返す。

 と、

「本当に忙しければ、同行するなんて事も出来ないと思いますけれど?」

 白花の横を歩いていた、そっくりの顔立ちの少女が言う。

 顔は酷似しているものの、その体型は白花とは逆に豊満で、大きな胸と張りのある尻を同様のワンピースに包んでいる。

 劉紅花(りゅう・ほんふぁ)。白花の双子の妹にして、姉同様劉家の跡継ぎたる少女だ。

「はっはっはっ、紅花さんは手厳しい。まぁ、忙しい日常を潤すには、可憐な貴女達のボディーガードでもするのが一番なんですよ」

 朗らかに笑いつつ、アルベルトの手がさっと二人の尻を撫でる。

「きゃっ・・・あ、アル様・・・」

「ちょっ、何処を触ってるんですかっ」

 恥ずかしそうな白花に、軽く睨む紅花。

 二人の少女に、聖職者らしからぬ行いをした当のアルベルトは、肩を竦めると、さっさと歩き出した。

 

 何故アルベルトがタイに降り立ったのか?

 簡単に言えば、要人の警護、という物だ。

 劉家の本拠地であるここ、タイに帰るという二人の護衛として、アルベルトという人物は抜群の信頼が置ける。その他の点に於いては、かなりの疑問を抱かざるを得ない、と紅花は考えているが。

 姉妹が本拠に帰る際、護衛の存在は不可欠だ。

 それは勿論イイのだが、神父が護衛というのはどうだろうか?

 二人の帰国の話をアルベルトにしたのは、つい数日前の話だった。

その日、劉姉妹が世話になっている犬飼家に、神父が訪問し・・・いつもの如く・・・

 

「あふぅっ!アル様のオチンポがぁっ、白花のお腹抉ってますぅ!」

 蕩けた表情で、白花は自分の腹に浮き出る程の主の巨根を貪る。

 膣内を蹂躪するペニスは、白花の幼い肢体には明らかにサイズが大きく、自然と膣肉がぎりぎりと拡げられ、全てを抉られる快感に翻弄される。

「ほら、もっと腰を振ってねだりなさい、白花。私の精子が欲しいでしょう?」

 アルベルトは耳朶をしゃぶりながら囁き、薄い胸の先端でしこり尖った乳首を抓り上げる。

「あひゃっ!イイ!イイです、アル様ぁ♪白花のオマンコに精液出して下ひゃいっ!ぁああああああっ!!」

 腰を振りたくり、蜜壷は収縮を繰り返して射精を促す。

「くっ・・・イイですよ、白花♪オマンコの奥で、いやらしい子宮にたっぷりと注ぎ込んであげましょうね!」

 ごびゅばぁああああああ!!どびゅっぶびゅるるるるるる!!ごぼびゅばぁああああああああ!!びゅるるるるるっ!!
ぐぷっと強烈に突き上げられたペニス、その亀頭が子宮口を強引に抉じ開けて嵌まり込むと、どくどくと脈打ち、黄ばみさえ見える精液を注ぎ込んでいく。

「くぁ・・・はっ、あああああああっ!!熱っ、いぃいいいい!!イクっ、イクぅううううううう!!」

 白花の嬌声が響き、二人の荒い息遣いだけが漂う。

 粘着質な音を立ててペニスが引き抜かれると、ごぽっと吐き出された精液が溢れ出す。

「可愛かったですよ、白花さん」

 呼び方が普段通りに戻し、アルベルトは白花を腕に抱きながら囁くと、白花は頬を染めて寄り添う。

 と、

 こんこんっ・・・・

 ノックの音が響き、アルベルトが返事をする。

 入ってきたのは紅花だった。

「どうも、お久し振りです」

 そう言って笑うアルベルトを見て、今日もまた、不良神父が姉と情事に耽っていた時間を考えて溜息をつく。

「お楽しみ中失礼だったみたいですね。ですけれど、週末には私達犬飼家を離れますので、ご容赦下さい」

「ふむ・・・・離れる?」

 アルベルトは眉を顰めつつ、煙草を取り出して火を点ける。

 紅花は、ええ、と頷きつつも、これ以上話す気はさらさらない。

 が、

「少し家に帰省するんです、アル様」

「っ・・・・・」

 紅花は呆然と姉を見つめた。

 未だアルベルトに抱き寄せられたままの姉は、話すのが至極当然という顔をしている。

「ほう、帰省ですか・・・えっと、白花さん達の実家は」

「タイです」

 紅花が溜息をつきつつ答える。

「ほう、タイですか」

 にこにこと笑うアルベルトに、紅花は嫌な予感を覚えた。

 そう、この青年の笑みは、往々にして信用の置けぬ時が多い。それが今ではないだろうか、とそういう類の予感。

「しかし、帰省とはいえ、麗しい貴女達の事が心配ですね」

 紫煙を吐き出しながらの台詞に、

「護衛の者はつけますから、大丈夫です」

 即座にそう返す。

 が、アルベルトは笑みを濃くした。

「それなら、私も同行しましょうか」

 紅花は頭を抱えたくなった。

 本気だろうか?否、この青年の場合は本気だ。

「神父様―」

「本当ですか?アル様♪」

 紅花の言葉を遮ったのは、嬉しさを多分に含んだ白花の声。

「ええ、本当ですよ。白花さんや紅花さんを守ってあげたいですからね」

 瞬時に、嘘だ!と思うものの、最早何を言った所で無駄だろう、と感じた。

 もう白花とアルベルトは楽しげに、旅行の話をしている。

 これは何の冗談だろうか、と思いつつ、紅花は姉の部屋を後にする。

 せめて・・・自分がアルベルトに抱かれてしまう事態は避けよう、そう思った。

 

「どうかしましたか?紅花さん」

「え?きゃっ!」

 ふと我に返った紅花は、目の前にあったアルベルトの顔に驚き、小さく悲鳴を上げる。

「おや、驚かせてしまった様で、申し訳ない」

 くすくす笑いながらの言葉に、紅花は少し赤面する。

「でも、その様子だと話を聞いていなかったみたいね」

 白花が言うと、アルベルトもふむ、と頷く。

「何の事です?」

 紅花が聞くと、アルベルトがいえね、と前置きして、
「食事をしていきませんか、という話をしていて」

「食事?劉家に行けば、問題は・・・」

 眉を顰める紅花にアルベルトは悪戯っぽく微笑み、

「まぁ、外食も美味しいじゃないですか」

 そう言って、紅花の背を押して歩き出す。

「あの、ですが・・・」

 アルベルトはきっちり、そんな紅花の言葉を黙殺し、白花と共に歩いていく。

 頭痛が激しくなった気がした。

 

 バンコク市街。

 ヤワラー通りに面した部分はチャイナタウンとなっており、活気に満ち溢れている。

 漢字で構成された看板が道路の上を占拠している光景は、チャイナタウンという街並みにぴたりと当てはまる。

 夕食を外で済ます事になった一行は、このチャイナタウンにある店にしたのだ。

「ふむ、これも美味しいですねぇ」

 紹興酒を飲みつつ、豪勢な中華料理にアルベルトは感心した様に言う。

 白花も、甲斐甲斐しくアルベルトに料理を取ったり、勧めたり、と楽しそうであり、忙しない。

 ただ一人、紅花だけが少し納得のいっていない顔ではあるが、それでも箸を進めていく内に、顔も和らいでいく。

 別段急ぐ旅でもないし、こんな食事というのも、そうそうある事ではないのだ。それに、ここまでの道程でアルベルトが働いた、紅花が信用出来ぬ部分の行動は空港でのセクハラのみ。

 まぁ、許容範囲内である。

「アル様。こちらのお料理も美味しいですわ」

 白花が皿に取った料理を差し出すと、アルベルトは箸で一摘み口に入れる。

「ふむ、確かに。とても美味しいですよ」

 アルベルトはそう言って、白花の頭を抱き寄せて髪に軽く唇で触れる。

「あ、アル様・・・」

 恥ずかしそうに微笑む白花を見て、ふと紅花に視線を移すと、呆れた様な顔で首を振っている。さながら、いい加減にしてくれ、といった所か。

 アルベルトは半ば嫌がらせに近かった自分の行為に肩を竦める。

 元々、今回の同行が既に一種の嫌がらせに近い。

 二人の身が心配というのは嘘ではないが、まぁ全く違う場所で白花を抱くのも面白い、と思ったのが大きな理由だ。

 白花は、アルベルトに隷従する牝奴隷である。

 初めて会った日に、アルベルトは様々な手を使い白花を犯し、その首に首輪を巻き、心を鎖で絡め取った。

 それからというもの、時間を作っては、白花を抱き、その体を開発調教していった。

 今回、タイについて来たのも、そんな調教の一環として面白い事が出来るかも知れない、といった考えが浮かんだ為に、あの日即座に行動したのだ。

 これからの数日間を考えると、いつもより更に楽しく、魅力的に、そして激しく欲望がそそられる。

 そんな考えに思いを馳せつつ、笑みを浮かべた。

「さて、そろそろ行きましょうか」

 紅花が口元を拭って立ち上がる。

「そうですね」

 アルベルトと白花も続き、三人は夜が更け始めたチャイナタウンへと踏み出す。

「あちらの方でしたかね?」

 アルベルトの問いに双子が頷き、三人はヤワラー通りを歩き始める。

 劉家の迎えと合流する予定の場所に向かいながら、通りに面した様々な店を眺める。

 混み合う人の多さに、苦笑混じりに溜息をつく。

 これでは、はぐれる可能性だってない事はないかも知れない。

 アルベルトが白花と紅花に手を差し出そうとか思って振り返った瞬間、路地裏から何かが転がり出てきた。

「きゃっ!」

 不意を突かれた白花がよろけ、アルベルトは腰に手を回して抱き止める。

「あ、ありがとうございます、アル様」

 照れた様な白花に微笑んでから、何かの方へ視線を移す。

 そこには、顔や服に血を滲ませた青年が転がっている。

 まだ二十歳そこそこであろう、精悍な顔つきは、しかし、頬や目の上が薄く腫れている。

 アルベルトは溜息をつくと、

「喧嘩なら他所でやってくれませんかねぇ・・・危うく、白花さんにぶつかる所でしたよ?」

 だが、青年はこちらを一瞥しただけで、すぐさま路地裏に戻ろうとする。

「はいはい、謝罪もなしに逃げるのはいけませんよ」

 そう言いながら、軽く青年の肩を押さえる。

 青年自身も大した力は込められていない、と思ったのか、振り払おうとして・・・・しかし、そのまま地面に叩き付けられた。

「がっ・・・はっ!」

 息が詰まり、痛みに顔を歪める青年。

「いけません、と言っているでしょう?」

 諭す様な口調だが、青年を地面に叩き付けたのは間違いなくこの神父なのだ。

「く、そっ!・・・悪かったよ!」

 それだけを言い残して立ち去ろうとする青年の肩を、またもアルベルトは掴む。

「もう一回しましょうか?」

「っ!・・・離してくれ!妹が!!」

 青年は慌てた様子で路地裏とアルベルトを見やる。

「妹?」

 首を傾げ、路地裏を覗き込んだアルベルトは、納得した。

 路地裏で暴れたのは、青年だけでなく、見た所一般人には見えにくい顔付きと雰囲気の男達と、その者達に強引に引き摺られていく少女。

「兄さん!!」

 少女の声が響き、青年は慌てて駆けていく。

 ふと考え、アルベルトは即座に青年の後を追う。

「アル様!?」

「神父様!?」

 双子の声を背に受けつつ、アルベルトは青年に追いつくと、その背と肩を踏み台に変えて跳躍。

 少女の腕を捻っていた男の顔面に蹴りを叩き込んだ。

「ぐぉっ!?」

 突然の攻撃に怯んだ男の頭を掴み、そのまま地面に顔面を叩き付ける。

「な、何だてめぇ!?」

 仲間と思しき男達。計5人。

「くすっ、この兄妹相手に六人とは、情けないですね」

 嘲りを含んだ声で言うと、アルベルトは一番近くの男に肉薄。腹に拳を叩き込む。

 くの字に折れた男の鼻っ柱に膝を入れ、その体を左手の二人の方に投げる。

 戸惑う男達を意識の外に追いやり、右手の二人。

 一人ずつ殴りかかってきた男達の拳を避け、一人目には膝蹴り、二人目には背後に回ってからのハイキック一閃。

 重い一撃を叩き込まれた二人は苦悶の声を上げながら膝をつく。

 残った二人は驚愕と戦慄に動けない。

 アルベルトはその二人に目をやり、微笑む。

「お引取り願えれば、片付ける手間が掛からなくてイイんですがねぇ」

 アルベルトの台詞に無傷の二人は弾かれた様に仲間を助け起こし、毒づきながらその場を立ち去る。

「あんた・・・何者なんだ?」
肩を竦めて見送るアルベルトの耳に、青年の声が聞こえる。

 アルベルトは意味ありげな笑みを浮かべ、兄妹に言う。

「私は、ただの神父ですよ♪」

無法伝2



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